2015年6月18日、「戦争法案反対国会前集会」前に独立メディアのIWJが瀬戸内寂聴さんに独占単独インタビューを行っています。こちらにはインタビュー全文を転載しています。動画の方はIWJのサイトでご覧ください。
「戦争の生き残りは私を含めてわずかですから、死ぬ前にもう一度、言わなきゃいけないなと」
去年1年間、病気で伏していたという、小説家であり天台宗の尼僧瀬戸内寂聴さんが、2015年6月18日、「戦争法案反対国会前集会」に車椅子姿であらわれた。
第二次世界大戦を生き延びた寂聴さんは、今年で93歳。誰よりも強い危機感を持ち、「戦争反対」を訴えた。集会が始まる直前の時間を利用して、IWJは寂聴さんに単独インタビューを敢行。万全ではない身体を引きずってでも訴えたいことは何なのか。冒頭から堂々と「反安倍」を掲げた寂聴さんは、戦争を体験した生き残りとしての願いと怒りをカメラの前で語った。
ーー今日はなぜ、抗議集会に参加しようと思われたのですか。
瀬戸内寂聴さん「安倍さんが日頃、仰ることが、全部気に入らないので。私は『反安倍さん』です。
このまま行ったら、日本は戦争をする国になります。安倍さんは、そうしようとしてらっしゃると思うんですけど、私は戦争の時にちょうど青春でした。辛い思いを色々しておりますから、どうしても今の若い人たちにそんな思いはさせたくない。
戦争の生き残りは私を含めて本当にわずかですから、生き残っている人たちが死ぬ前にもう一度ね、言わないきゃいけないのではないかという気持ちです」
記事目次
北京で中国人と深くつき合った 中国人を嫌いになれない
かつては「戦争反対」を訴える人間は非国民だと信じていた
戦前と今と似通う社会の空気
「愛する人がいるならば、その人が殺されるということを想像して、戦争に反対してほしい」日時 2015年6月18日(木) 18:00~ 参議院議員会館
北京で中国人と深くつき合った 中国人を嫌いになれない
ーー戦争という言葉が日常的に聞かれるようになったことに大変な危機感があります。思い出したくない場面も沢山あると思いますが、戦争を知らない私たちが戦争を具体的に想像するために、生き残りの一人として、戦禍の体験を教えてください。
瀬戸内寂聴さん「昭和18年、男子学生を戦争に行かせるために、男の子たちは半年早く、卒業することになって。私も東京女子大を半年早く卒業しました。私は婚約していましたから、すぐに夫について、北京に行ったんですね。だから、いわゆる空襲は知らないんです。でも、北京で終戦を迎えて、引き揚げてきました。その時に、満州の人ほどではないけども、やはり相当な苦労がありました。
北京で、中国の人たちと深くつき合ったものですから、中国人の悪いところよりも、良さをずいぶん見ているんですよ。どうしても中国人を嫌いになれない。良くしてもらって、良い人たちばかりだったから。だから中国と戦争するということはもちろん嫌なんですよね。
それと、帰ってきたら、徳島県でしたけど家は全部焼かれていて、母が防空壕で死んでいるんですね。祖父も防空壕で死んでいたんです。父親が大工の出身でしたから、自分でぽつんとする家を建てて、赤ん坊と私たち夫婦3人でしばらく居候していました。
その時に、姉が一人、小さな男の子を抱えながら残っていまして、夫は戦争に取られて、満州からシベリアに連れていかれて帰ってこないんですね。戦後6年間も帰ってこなかったんです。その間の、姉の苦労も父親の苦労も見ていますから、自分自身や焼かれていませんけども、戦争の酷さというのは身にこたえています」
かつては「戦争反対」を訴える人間は非国民だと信じていた瀬戸内寂聴さん「私は、優等生だったんです。天皇は神様だと思い、この戦争は本当に良い戦争だと思い込んでいました。東京女子大学は割とインテリの娘が多いですから、『この戦争はダメだ』とか、『間もなく負ける』とか言うんですよ。私は(そう言う人たちは)何て『非国民』なのかと思ったほど、ものを知らなかった。
だけどやっぱり、自分が(戦争を)味わってみて、この戦争がいかに間違った戦争で、日本がとんでもないことをしたということが分かったんですね。そうすると、単純なものですから、そうなると今までの自分が信じられなくて、徹底的に根本から変えようと家を飛び出して一人になって、苦労しながら作家になったんです。戦争がなければ、私は良い奥さんで良い母親でね、すごせたと思います。
戦争のバカさ加減がね、嫌になったんですね。東京女子大は割合、自由な考え方で教育をしてくれていたんですが、女学校で教えられたのは、非常に古臭い『忠君愛国』の思想だったので、この戦争に勝たないといけないと思っていたんですよ」
ーー今、安倍政権の安保法制を支持している人の中には、その当時の寂聴さんと同じ考えを持っている方が大勢いると思います。その方たちに、今の寂聴さんの立場から伝えられることは何ですか。
瀬戸内寂聴さん「戦争は人殺しですからね。殺さなきゃ殺されるんですから。どんな理由があっても、『良い』戦争なんてないと思います。昔は、この戦争は『良い戦争だ』と、天皇陛下のために、日本国民のために、東洋の平和のために戦争をしなきゃいけないと教えられていたんですね。
でも、どんな戦争でも良い戦争というものは、絶対にありません。戦争は悪い。人殺しですからね、絶対にいけない。
私は51才で出家しましたから、いくらか仏教の考えがありますけど、仏教で一番いいなと思っているのは、『殺すなかれ』『殺させるなかれ』というのが根本思想なんです。これはやっぱり素晴らしいと思います。殺しちゃいけないんですよ。戦争は殺さなければ殺されるんですからね。絶対あってはならないと思いますよ」
戦前と今と似通う社会の空気ーー当時の戦前のきな臭さと今の状況と重なる部分はありますか。
瀬戸内寂聴さん「今がね、まさにその、かつてのきな臭さの時期ですね。思い出しますと、昭和16,17年の頃はこんなでした。軍靴の音が後ろに響いてるのね。あれしちゃいけない、これしちゃいけないと政府が言う。本当に馬鹿げたこと。良い着物は着てはいけないと、袖を切ったりですね。そんなことをしてたんですよ。
『欲しがりません、勝つまでは』なんて言って、物を買ってはいけないと命じられて。それに、喜々としてではないけれど、そうしなければいけないと思ってやっていたんですね。馬鹿げたことだと思います」
ーー今、どういった場面で、当時の空気を感じることがありますか。
瀬戸内寂聴さん「安倍さんのやってらっしゃること、言ってらっしゃることは、その時代に返れということですね。あの方、戦争のできる国にしたいんですからね。終戦後、憲法9条を持ったということは、やっぱりあの戦争で本当に沢山の人が死に、戦争した相手の人をどれだけ殺していますか。そういう人たちの死んだ命の上に、さらに、その時代のようなことをしようとしている。それは絶対にあってはならない」
ーー安倍総理は「戦争立法」という言葉自体も否定していますし、米国の戦争に巻き込まれることもないと口では言っていますが。
瀬戸内寂聴さん「でもやっていることはそうじゃないですか。やっていることは、やがて戦争になるようにしている。自衛隊は軍隊になるでしょうしね。アメリカの属国みたいじゃないですか。そう思います」
「愛する人がいるならば、その人が殺されるということを想像して、戦争に反対してほしい」ーー自分の彼氏が自衛隊員だったりする若い世代の中には、学業の傍ら、この戦争に積極的に反対している。最後に、若い世代に寂聴さんからメッセージを。
瀬戸内寂聴さん「戦争にみんなを連れていくようになったら、女だって、連れていかれますよ。男だけが戦争に行くんじゃなくて、女もいかなくてはならないと思います。そのことを考えて欲しいですね。
そして、世の中で何が一番、辛くて不幸かというのは、愛する人に死なれることですよ。だから、少なくとも、愛する人がいるならば、その人が殺されるということを想像して、戦争に反対して欲しいですね」
(IWJ・ぎぎまき)
以下ネットの反応。
結局中国人に助けられたのは結構だが、今の中国を見てない。毎年10%軍事拡大して、自称軍事目的じゃない埋め立てしてる。うちだって中国人の友達おる。戦争は頑固反対けど今のままじゃ、、、
「私は反安倍さん」瀬戸内寂聴http://t.co/jvWOEBt0qw
— AOI (@tonarinoshibafu) 2015, 6月 19
この記事について意見を言おうと思ったら岩上氏にブロックされていたというw 寂聴氏のご高説は中国で言われた方が良いのではないですかね。しかし内容は本当に支離滅裂ですね。よく同意できる人がいるなと個人的には思いますが。| http://t.co/iHP4aSS93A
— JPNEWS24 (@jp_news24) 2015, 6月 19
#安保法制 に反対の人も賛成の人も読んでほしい。
「死ぬ前にもう一度、言わなければ」瀬戸内寂聴 http://t.co/uQzvQmrFUG
— yuki (今更)激ゆきにゃんにゃん丸 (@zenfinedays) 2015, 6月 19
おぉ、寂聴さんが現れた!と一瞬でもなった自分にゾッとした。
「この人がこう言ってるから正しい」と考えるやつだ。あかんあかん。
瀬戸内寂聴さんが戦争法案反対集会に参加!愛する人が殺されることを想像して欲しいhttp://t.co/syluadh7vL @iwakamiyasumi
— 霊河太樹 (@taikinta31) 2015, 6月 19
経験していない私達ですらなんか危機感覚えるんだから、経験した人の危機感、焦りはそりゃ相当なものなんだと思う。
経験者が「あれは良くなかった」って言うんだからよくないんだよ。... http://t.co/Mm3t8SRgYb
— ネコパンチ!!花柳玲千音 (@nekopunch22) 2015, 6月 19
やはり戦争体験者は、絶対に戦争に、近づいてはならないと言う。恐ろしいのは、今が戦前に似た風潮だということ。http://t.co/YuIV4dIdP3
— 塚本晋也tsukamoto_shinya (@tsukamoto_shiny) 2015, 6月 19
93歳の瀬戸内寂聴さんのインタビューと国会前でのスピーチ。 リアルな経験をしている寂静さんの言葉には重みを感じる。自分も祖母や母親から戦争の悲惨さを聞いたことがあるので余計そう思う。... http://t.co/BgAWci4h2F
— YukigaSki (@danksmash1204) 2015, 6月 18
瀬戸内寂聴さん(93歳)
「安倍さんが日頃、仰ることが全部気に入らない。私は『反安倍さん』です。
戦前の昭和16,17年の頃がこんなだった。
安倍さんは言ってる事と、しようとしている事が違う、やがて戦争する国にしようとしている」
http://t.co/RHsXdGl2l8
— apYUUJI (@apYUUJI) 2015, 6月 18
最近思うんですが、戦争法案に反対する人は街へ出て正々堂々と大きな声を挙げていますが、戦争法案に賛成する人はまったく姿が見えません。ネットの隅でウヨウヨしているだけです。
僕としては両論を紹介したいので、戦争法案に賛成する人も街へ出て「戦争法案賛成」「戦争法案反対に反対」スピーチをして欲しいものです。