環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に関連し、オバマ米大統領に通商一括交渉権(TPA)を与える法案を早期に成立させるため、米議会多数派の共和党は17日、可決のメドが立たない失職者支援法案(TAA法案)から切り離し、TPA法案単独にした修正案として18日に下院で採決することを決めました。
米下院、TPA法案を18日にも再採決へhttp://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPKBN0OY0JJ20150618
米下院は、環太平洋連携協定(TPP)交渉の妥結に必要とされる貿易促進権限(TPA)法案を18日にも再採決する。
下院はTPA法案を今月12日に僅差で可決したが、TPAと一括法案としていた貿易調整支援(TAA)法案が否決され、TPA法案も暗礁に乗り上げていた。
今回は、TPA法案からTAA法案を分離し、TPA法案を単独法案として審議・採決する計画。下院を通過すれば、来週にも上院で採決する可能性がある。
上下両院の共和党指導部は17日、TAA法案をTPA法案とは別個の法案とすることで合意したが、上院民主党の支持が得られるかは不透明だ。
TPA法案、18日に米下院で再採決へ 労働者支援法案と分離http://jp.wsj.com/articles/SB12208919310003153678304581054863853794334
ただ、この法案を通過させるのに十分な人数の民主党議員が集まるかどうか、とりわけ上院で賛同を得られるかどうかは不透明だ。上院民主党は先月、TPA法案には貿易調整支援制度(TAA)の延長とセットにすべきだと主張した。TAAは、国外への生産移転や輸入品との競争激化で雇用を失う米国の労働者を支援する制度。
TAAは9月末に失効する。民主党は、議会を支配する共和党がTPA法案の可決と並んでTAA延長の保証を求めている。共和党指導部は、民主党の信頼を勝ち取りたいと願っている。
下院のジョン・ベイナー議長(共和)と上院のミッチ・マコネル院内総務(共和)は共同声明で、「われわれはTPAとTAAのいずれも、下院と上院で確実に賛成票を得て、署名のため大統領に送付することに注力している」と述べた。そして「われわれの意図は、関税法案に関する(上下両院)協議会を設置して、時宜を逃がさずにこれを完了し、大統領が署名して法律を成立させられるようにすることだ」と語った。
しかし、貿易推進派のマリア・カントウェル上院議員(民主、ワシントン州)は「TAAが取り残されるような方法は問題だ」とし、労働者支援条項が抜け落ちることのないように手続きの詳細を見たいと語った。
下院民主党は先週、TPA法案に盛り込まれた労働者支援のTAA条項に反対票を投じることで、同法案を退けた。
下院の共和党指導部はこれに対処するため、TPA部分を切り離して独立法案として成立を目指し、労働者支援措置を別の貿易法案に盛り込んだ。労働者支援制度は毎年推定10万人を支援している。
しかし、ベン・カーディン上院議員(民主、メリーランド州)は、大統領貿易促進権限だけのTPA法案なら支持に消極的だと述べ、その理由として「下院で起こったことを考えると、TAAが得られるとの保証が全くないからだ」と語った。カーディン議員は、労働者支援制度の延長をセットにしたTPA法案に賛成した上院民主党議員14人の1人。
下院民主党の貿易推進派議員たちは楽観論と不透明感の間で揺れた。下院民主党議員のうち28人前後が先週、貿易法案のうちTPA部分に賛成票を投じたが、共和党議員54人が反対票を投じた。
ブラッド・アシュフォード下院議員(民主、ネブラスカ州)はTPA法案について「どこかの時点で通過する。大統領はあきらめないだろうし、共和党もあきらめないだろう。そして、われわれ民主党の28人もあきらめるつもりはない」と述べた。「私は楽観的だ。しかし、きのうは本当に楽観的だったが、その後それほどでもなくなった」
12日の採決で失職者支援法案(TAA法案)とセットでダメだったから、今度は失職者支援法案(TAA法案)を抜いてやってみようという軽いノリで進んでいるのかはわかりませんが、とにかくオバマ米大統領に通商一括交渉権(TPA)を与える法案を早期に通したくて仕方がないようです。
この間の訪米の時に、安倍総理とオバマ大統領で「夏までに俺はTPPをまとめるからお前は安保法案やっとけよ」と約束でもしたんですかね。
下院での採決もどうなるかわかりませんし、上院も全くわかりませんが、この強引さが嫌な結末を招く気がしてなりません。