ネット上の差別的な書き込みを集めて掲載され、名誉を傷つけられたとして在日朝鮮人の女性が、まとめサイト「保守速報」を運営する男性に2200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が16日、大阪地裁であった。森田浩美裁判長は「名誉毀損(きそん)や人種差別にあたる記事を40本以上も掲載し、執拗(しつよう)だ」として200万円の賠償を命じた。
訴えていたのは、大阪府東大阪市在住のフリーライター李信恵(リシネ)さん(46)。原告の弁護団は、差別表現の書き込み自体ではなく、掲示板などの投稿を集めて掲載する行為に賠償が認められるのは「我々が知る限りで初めて」と評価した。
判決によると、男性は2013年7月から約1年間、保守速報のサイトに、匿名掲示板「2ちゃんねる」などに書き込まれた李さんを差別、侮蔑するような投稿や写真を、読みやすく編集し掲載した。
判決は、李さんに対する「頭おかしい」や「朝鮮の工作員」といった表現は、社会通念上許される限度を超えた侮辱にあたる、と認めた。「日本から叩(たた)き出せ」などの表現は「日本の地域社会から排除することをあおるもの」と指摘し、人種差別にあたると判断。女性差別にあたる表現もあった、とした。
男性側は「情報の集約に過ぎず、転載したことに違法性はない」と主張していた。しかし判決は、男性による表題の作成や情報量の圧縮、文字の強調によって内容を効果的に把握できるようになった、と認定。「2ちゃんねるとは異なる、新たな意味合いを有するに至った」とし、引用元の投稿とは別に、保守速報自体が憲法13条が認める人格権を侵害した、と結論づけた。
判決後に会見した李さんは「踏み込んだ内容の判決で、とてもうれしい」と喜んだ。「拡散された情報は消えることがない。誰もが傷つかないようにできたら」とも語った。
スポンサーリンク
以下ネットの反応。
保守速報 : 【大阪地裁】李信恵裁判 保守速報に対して200万円の高額賠償命令 https://t.co/oMxUfV5bad
— 保守速報 (@hoshusokuhou) 2017年11月16日
[李信恵・対保守速報訴訟要旨] 最も大きな争点は、2ちゃんねるからの転載であるまとめサイトは、記事内容に責任を負うべきかどうか。裁判所は、これらは新たな権利侵害にあたると認定。この判決によって、今後まとめサイトは責任を逃れることが難しくなった。https://t.co/LtC624yGFD
— C.R.A.C. (@cracjp) 2017年11月16日
保守速報がヘイトスピーチ訴訟で敗北、大阪地裁が200万円の損害賠償支払いを命ずる | BUZZAP!(バザップ!) https://t.co/YzkvtVgyT2 pic.twitter.com/1PjYeQARff
— BUZZAP!(バザップ!) (@BUZZAP_JP) 2017年11月16日
在特会元会長の桜井誠氏のヘイト裁判に続き、保守速報管理人を訴えた裁判でも、李信恵さんが勝訴。当然の判決です。 https://t.co/TEZqF5Ggdo
— 佐藤 圭 (@tokyo_satokei) 2017年11月16日
当然の判決とはいえ、当事者と支援者には心身ともに長い道のりだったと思います。心から祝福します。お疲れさまでした。 https://t.co/NVtFu1wWK4
— 有田芳生 (@aritayoshifu) 2017年11月16日
保守速報の「控訴します」の記事にも「頑張ってください」というコメントがズラーッと600ぐらい連なっています。