日本共産党の山下芳生書記局長は17日の記者会見で、参院安保法制特別委員会(11日)で小池晃議員が暴露した統合幕僚監部の内部文書「『日米防衛協力のための指針』(ガイドライン)及び平和安全法制関連法案について」に関して、「極めて重大な内容をはらんだ文書です」と批判し、四つの大問題を指摘しました。
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http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-08-18/2015081802_03_1.html
一つは、ガイドラインが上位にあって、その実効性確保のために戦争法案が必要であることが、赤裸々に述べられている点です。
内部文書は「ガイドラインの記載内容については、既存の現行法制で実施可能なものと、平和安全法制関連法案の成立を待つ必要があるものがあり、ガイドラインの中では、これらが区別されることなく記載されています」と記しています。山下氏は、「憲法を日米同盟に従属させるものという本質が明らかになった」と述べました。
二つ目に、日米共同の司令部を設置し、日米共同の作戦計画のもとに自衛隊をおいて活動させることが述べられている点です。
文書は、「平時から利用可能な常設の同盟調整メカニズム」「軍軍間の調整所」を明記しています。山下氏は「自衛隊が自ら『軍』と位置づけていること自体問題ですが、ガイドラインにも書いていないことが堂々と述べられています」と指摘しました。
三つ目は、南スーダンに派遣している国連平和維持活動(UNMISS)についても、「駆けつけ警護」や「武器使用の権限」の拡大が「UNMISS派遣施設隊の業務に追加される」と記し、法案を先取りしていることです。
そして、四つ目に、平和安全法制が8月に「成立」、来年2月に「施行」と「日程表」に表記され、ここでも国会を無視していることです。山下氏は、「戦前の『軍部の独走』と同じ事態が起こっています」と批判しました。
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「日米ガイドライン>防衛相が作った「内部文書」>戦争法案>憲法」
これが、今回の戦争法案の実態ですね。下記の文章を読むとよりいっそう理解が深まります。
そもそもこの平和安全法制の法案、スタート点は、4月27日に日米両政府が18年ぶりに、再改定に合意した、日米防衛協力のための指針=新ガイドラインにある。これが大問題の文書なのだ。集団的自衛権の行使、日本周辺という防衛協力の地理的制限を取り払って、地球の裏側まで米軍に付き従うこと、そして自衛隊が戦闘地域にまで行って、軍事支援を行うことまで明記されている。
これほど重要な変更が、「単なる指針」に過ぎないという理由で、国会の審議にかけられることもなかった。本来、日米安保条約の条約改定が必要な大変更である。国会で審議、議決、批准は不可欠のはずである。
これにもとづき、現実に移していくスケジュールが決められ、安倍総理の米議会での演説が行われ、夏までに国会を通すなどという国会無視の発言が行われた。あたかもこの演説が「国際公約」であるかのような空気の醸成を、政府と一体化した御用マスコミが行い、国会を通過は当然視してきた。
しかし、国民はこの暴挙を許さず、戦争法案反対の声が日本中に広がった。国会を軽視することは、主権者である国民の意思決定を軽視することである。まさしく主権の侵害である。本来、国会にかけて条約改定の論議を行うべきだったガイドラインなるものの改定手続きも大問題である。
今、全国で闘われている安保法案反対の動きは、同時に、その諸悪の根源である、この日米ガイドライン改定の無効性に焦点を当てるべきなのではないか、と思われる。行政権の逸脱、越権の暴走ではないだろうか。