政治のエンタメ化
「政治を面白く」というキャッチフレーズを掲げる「れいわ新選組」代表の山本太郎氏は、実際に街頭演説やインタビューなどで有権者の関心を引くための〝仕掛けづくり〟を意識していることを「ネタばらし」している。「政治のエンタメ化」を、「あえて」実行するというわけだ。
沖縄県出身で創価学会員の野原善正氏を擁立し、誰もが矛盾を感じている「公明党」とその支持母体である「創価学会」のズレを、参院選という大舞台で公明党代表・山口那津男氏との「ガチンコ勝負」として具現化する――これはほとんどプロレス的発想だ。
いみじくも「NHKから国民を守る党」代表の立花孝志氏が言ったように、「真面目なことを不真面目」にやらないと誰も注目しないのである。NHKの政見放送で、候補者たちがNHK局員の不祥事を暴露しまくり、口々に「NHKをぶっ壊す」と叫ぶ姿を痛快に感じた有権者も多かっただろう。
今や国政選挙でさえも、スマートフォンの画面やアプリのタイムライン上に表示される無数のコンテンツの一つに過ぎなくなっている。筆者は、これを「ありとあらゆる情報がフラットにコンテンツ化される社会」と呼んでいる。
そこでは内容の〝真贋〟や〝善悪〟に関係なく、そしてフィクションかリアルかを問わず、ありとあらゆるテキスト、表現、パフォーマンス等々が、個々の重要性などは脇に置かれ、単なるコンテンツとして消費される。
そのような中で今、政治は「見る価値」「参加する価値」があるコンテンツか否かが吟味される状況になっている。ここにおける「価値」とは「面白さ」であるということを、山本氏は意識的にか無意識的にか、感知しているのであろう。
いまや国政選挙で票を得るためには、膨大な消費コンテンツと競争しなければならない。インスタグラムでモデルが訪れていたお洒落なカフェや、世界中でプレイされているオンラインゲームの新作や、ユーチューバーの「やってみた動画」などと「可処分時間」の奪い合いをしなければならないのだ。
スマートフォンの中では、政治家の街頭演説よりも、猫が床をゴロゴロする動画のほうが、果物が山ほど載ったパフェの画像のほうが、多くの人を惹きつける。政治に無関心な層を掘り起こそうとすればするほど、「エンタメ要素」は必須とならざるを得ないだろう。
参院選の翌日に行われた吉本興業の岡本昭彦社長の約5時間にわたる謝罪会見で、選挙結果を吟味するための「時間」そのものがかっさらわれ、世間がそれ一色に塗り変わったことが典型的だ。政治も「面白く」なければスルーされるというわけだ。
その点、「れいわ新選組」の選挙戦は「エンタメ性」が徹底されていた。
例えば、難病であるALS(筋萎縮性側索硬化症)患者を国会に送り込むというのは前代未聞の試みであるだけでなく、彼らが主張する価値観(中卒、高卒、非正規や無職、障害や難病を抱えていても、将来に不安を抱えることなく暮らせる社会を作る)をリアルタイムで世に問う「社会実験」でもあったわけだ。
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以下ネットの反応。
「れいわ新選組」や山本太郎氏を危険視する声は強まりつつあるが、実のところ日常的に「身の危険」を感じているのは、彼らの批判者よりも、支持者や支援者たちのほうだ。【れいわ新選組の底力を、ポピュリズム批判だけでは見誤る「真の理由」】 @gendai_biz https://t.co/ee0N407SHw #現代ビジネス
— 現代ビジネス (@gendai_biz) July 27, 2019
私は山本太郎はポピュリズムだと思いますけどね。ただ政治のエンタメ化については考えないといけない。この現実の前には批判だけではなくそれにどう対処するかを考えないと。山本太郎のように中身をポピュリズムにするのは論外ですが、その訴え方などの研究は必要でしょうねhttps://t.co/U3TSZXfWy2
— うちびき (立憲民主党支持) (@CMpZvTMf6czFvWt) July 27, 2019
《万物がフラットなコンテンツとして消費される中で、政治さえも「コンテンツ」のひとつに過ぎなくなった》
なるほど、と腹落ちした論考。筆者を見たらwithnewsにも寄稿頂いている真鍋厚さん@amanabe01だった。 #NewsPicks https://t.co/KRVTrbk6aH
— 丹治翔/withnews副編集長 (@shou_tanji) July 27, 2019
…頭が悪すぎる記事。
政治はエンターテイメントでない。
何ができるか、するのか、どう国を守っていくのか。
それができた上でエンターテイメントするならいいけどな。れいわ新選組の底力を、ポピュリズム批判だけでは見誤る「真の理由」 これは現代の「一揆」かもしれない https://t.co/MvWU47kuiL
— キア (@1240rebas) July 27, 2019
あなたは、れいわ新選組は左派ポピュリズムだとい、批判というか、レッテル貼りに対して理論武装していますか? していないなら、それがあなたの優先順位。理論武装しないと安倍晋三に貴方は完敗します。https://t.co/hsWYmM0DCv
— Ken Inokuchi🇺🇸 (@InokuchiKen) July 27, 2019
大衆に「政治参加」を促すための「政治のエンタメ化」。緻密に戦略が練られており、まさにSNS時代の選挙という感じ。思想も手法も時代にマッチしているから心をつかむ。批判的にとる人もいるだろうけど、政治に失望した大衆に参加してもらうにはこの戦略しかないのだと思う。https://t.co/s1e13M9jww
— みどるマン (@kkr111115) July 27, 2019
パンケーキの方が大事……
いや……自分もゲームの方が大事って言っちゃうわ……だって選挙行っても結局自民党やん()— スライムせいぼん@Roselia 2日目 C15 (@Mayalove_293) July 22, 2019
「独裁国家ロジック」
①市民「自分だけ金儲けできたらそれでいいや。」
②市民「選挙より、パンケーキ食べたい!」
③政治家「国を大切に思う国を作らねば!」
④首相「選挙で選ばれたんだ!俺のいうこときけい!」
⑤選挙で勝てる (①②があるから可能)👈イマココ【結論】
結局は市民の問題— 総理っくん (@kinajosouri) July 26, 2019