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【国民の声】水上弁護士「公聴会が単なるセレモニーで茶番であるならば、私はあえて申し上げるべき意見を持ち合わせておりません」

投稿日:2015/09/17/ 01:14 更新日:

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【水上貴央】 国会 平和安全 横浜地方公聴会 2015年9月16日


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「アラガイ熊」様が書き起こしをしてくださいました。

水上貴央弁護士:
弁護士の水上貴央(たかひさ)でございます、よろしくお願いいたします。
さて公聴会とは「国会法第51条に法定された正式な会であり、とくに重要な法案については重要な利害関係者や学識経験者等の意見を聞いて、慎重かつ充実した審議を実現するためにあるもの」と理解しています。私も昨日、中央公聴会を拝見させていただきましたが、元最高裁判事の濱田先生が正にこの法案を、明確に違憲と断じ、さらに今後、裁判手続きにおいて「違憲無効判決が出る」ことについても示唆されるなど、極めて重要な意見を述べられたと考えています。

奥田(愛基)公聴人の素晴らしいスピーチに、心動かされた方も多かったのではないかと思います。正に多くの参酌すべき公述がなされ、集中審議を含め最後まで審議を尽くすべきこのタイミングで…  その後の理事会において、本日この後さらに質疑をされ、取りまとめ、終局(法案の委員会採決)という審議日程(案の了承)が強行されました。
私は一介の弁護士に過ぎませんが、それでも業務の予定を変更し、この場に来ています。本日臨席されている公述人の方々も、或いは昨日来られた6人の公述人の方々も、それぞれ大変忙しい方ばかりです。そういった人たちが日常の仕事を調整してまで公聴会に参加しているのは、「ひとりひとりの国民が民主主義の一端を担っている」という自覚からです。

公聴会で公述することが、より「実のある審議」に資すると考えるから参加しているのです。私は昨日の中央公聴会を拝見し、この国の民主主義に希望を持ち、一方その後の理事会の経緯を見て、この国の民主主義に絶望しつつあります。
公聴会が「採決のための単なるセレモニー」に過ぎず、茶番であるならば、私は敢えて申し上げるべき意見を持ち合わせておりません。
委員長!公述の前提としてお伺いしたいのですが、この横浜地方公聴会は慎重で十分な審議をとるための会ですか?それとも「採決のための単なるセレモニー」ですか?

鴻池委員長:
この件につきましては各政党の理事間協議において、本日の横浜の地方公聴会が決まったわけです。その後段(採決の予定)については未だに協議が整っておりません。

水上貴央弁護士:
ぜひとも「公聴会を開いた甲斐があった」と言えるだけの、十分かつ慎重な審議をお願いしたいと思います。それでは意見を申し上げたいと思いますが、すでに大分持ち時間過ぎてしまいました。
私、資料4で本当は今日申し上げたかった原稿をお示ししてありますので、ぜひそちらを御覧頂きたいと思います。ここでは特に重要な点に絞って、時間の限りお話したいと思います。
http://www.ourplanet-tv.org/files/150916mizukami04.pdf

まず後方支援に関する問題について、お話したいと思います。この法案は「重要影響事態における後方支援」として、世界中の戦闘地域に隣接するものも含めた「現に戦闘が行われている現場」以外において、発艦準備中の戦闘機に弾薬の補給等まで行える―というようにしています。
この行為(後方支援)が、武力行使に密接な準備行為であり、「武力行使との一体化」として憲法第9条に反するのではないか―というのがここでは問題になっています。これを考えるにあたっては、逆に日本が攻撃されている場面を考えてみることが重要です。資料1の5p及び6pを御覧下さい。

まず5pは我が国に対してA国が攻撃をしてきている場合、具体的には我が国に対してA国の爆撃機がミサイルで攻撃してきて、ミサイルを撃ち終わった爆撃機が、我が国の領海のすぐ外の公海で(待機していたA国の)補給艦で補給を受けるという場面です。
これはA国が爆撃機で攻撃してきて、A国の補給船が弾薬を補給するという場面ですから、政府の説明でも当然に「個別的自衛権を行使できる場面だ」と説明されています。

http://www.ourplanet-tv.org/files/150916mizukami01.pdf#page=6
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次の6pを御覧頂きますと、このA国が行った補給艦の部分をB国が行ったらどうなるか…という事例になります。これについて国際法上の常識から考えれば、当然にB国に対しても… 少なくてもこの事例「爆撃機に対して弾薬を補給して、直ちにその爆撃機が再び日本に攻撃しにくる」という事案においては、B国の補給艦に対して個別的自衛権が行使できるハズです。
というのは、このような武力行使と正に密接不可分な行為は、もはや中立国の行為とは認められず、このB国自体が「交戦国」となってしまいますから、国際法上はB国の補給艦は軍事目標になります。従って、当然に個別的自衛権が行使できるハズです。
逆に言うとこれが出来ないとなると、日本はずうっと攻撃され続けてしまうということになります。我が国の安全保障が極めて深刻な影響が与えられることになります。

ところが今回、政府は「このような場合のB国(補給艦)に対して反撃できない、自衛権を行使できない」という答弁をされました。これはどういうことかと言うとですね…。

今度は(立場を変えて)このB国の立場が日本になった場合どうなるか、という話です。つまり例えばアメリカがA国の立場になり、その補給をするB国が日本になった場合に日本は、そのアメリカから攻撃を受けている他国から個別的自衛権を行使されますか? というときに、個別的自衛権が行使される=武力攻撃できるということになると、日本がやっているのは「アメリカと一体化した武力の行使」だということになってしまいますので、日本はこの行為(後方支援)を
<「武力の行使と一体化していない」と説明するため> には、「B国に対しても反撃できない」と言わざるを得ない― という状態になったんです。

これは明らかに「全世界でアメリカの武力攻撃を支援するために、我が国の自国防衛を犠牲にした」ということです。むしろ我が国の安全保障が重要だと考えるならば、このような法律を作ってはいけないのです。
一方で、そのことに対して追求された政府は、その後の答弁において「このような場合においてもB国に対して、やはり個別的自衛権が行使できる 場合がある」と答弁を変えました。このように答弁を変えること自体が問題ですが、今度はもしここでB国に個別的自衛権が行使できるとすれば、やはりこのB国の立場に日本がなった場合に、これは「武力行使と一体化している」ではないかという問題が生じます、つまり違憲なのです。

どういうことかと申しますとこの法案は、実態において違憲な武力行使と極めて密接な準備行使を行い、これを隠し立てするために、我が国の個別的自衛権を犠牲にしている法案なのです。
政府与党が、本当に日本の安全保障環境を重視し、我が国を守ろうと思うのであれば、どうしてこのような違憲で、かつそれを隠すために自国防衛を犠牲にするような法律を作るのでしょうか?  この法案はどこを向いて作られているのでしょうか? これがまずひとつ重大な問題です。

もう一つ大変重要な問題が、自衛官(個人)による武器使用という問題です。資料1の9pを御覧下さい。
http://www.ourplanet-tv.org/files/150916mizukami01.pdf#page=9
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本法案では「他国の武器等を守るために自衛官が武器を使用して守れる」という条文、これ自衛隊法95条の2という条文にございます。この条文の主語は「自衛官」です ―自衛隊ではない、国でもない― 自衛官です。そしてこの守ることが出来る対象になってる「武器等」には、艦船や航空機が含まれてます― イージス艦が守れるということになります。
つまりどういうことかと言うと「自衛官個人が武器を使って、アメリカのイージス艦を守る」という、とんでもない規定になっています。このように明らかに不合理な条文になっているのは、この行為をもしも「我が国自身がやっている、組織的にやっている」ということになれば、これは明確に「武力の行使(=違憲)」だからです。
<武力の行使だと言われないため>には、「自衛官個人がやったこと」にしなければならないのです。しかし条文に自衛官と書いたからといって、この行為の本質が変わるでしょうか? 実際には、明らかに「武力の行使(=違憲)」です。

さらに申し上げますと、この(自衛官個人がやった)場合には「新3要件の縛り」は有りません、存立危機事態も認定されません― つまりこれは完全にフルスペックの集団的自衛権です。つまり政府はこの条文において、フルスペックの集団的自衛権を認めてしまっています、限定されてもいません。

以上より、この条文は違憲条文であり、自衛隊法95条の2は必ず削除しなければなりません。ちなみに申し上げますが、共産党等が提出された自衛隊の資料(の文面)によると、この95条の2を使う気満々です。
さらにこのような不合理な規定をとったことによって、一番しわ寄せを受けるのは… なんと自衛官です。どういうことかと申しますと、この条文の主語は「自衛官」ですから、もしも万が一、他国が自国の民間船を盾にして攻撃してきた時に、それを自衛官が守って、それが「(自衛官の)正当防衛や緊急避難」を成立させない場合には、「自衛官個人」が責任を取ることになります。
我が国の刑法、或いは当該 ―(日本が)攻撃してしまった― 国の国内法で罰せられる可能性があります。

自衛官は一方で、自衛隊法122条の2という条文で、上官の命令に従わなければ罰則が加えられます。自衛官は、上官の命令に従って止むを得ず武器を使用した結果、正当防衛や緊急避難が成立しなければ、罰せられる可能性があるんです。
これは自衛隊、自衛官の皆さんに胸が張れますか? 我が国を守ってくれている自衛官の皆さんに胸が張れますか?

このようにこの法案は、違憲の問題を抱えているだけではなくて、法律自体が欠陥法案であり、また極めて不当な結論を導くような不当法案です。従ってまずは政府は、改めるべきところは改め、「しっかりと合憲の枠組みを作ることが出来るのか」ということを模索するべきです。
国会は立法をするところです。政府に白紙委任を与える場所ではありません。ここまで重要な問題が審議において明確になり、今の法案が政府自身の説明とも重大な乖離がある状態で、この法案を通してしまう場合は、もはや国会に存在意義などありません。これは単なる多数決主義であって、民主主義ではありません!

鴻池委員長: 陳述時間を過ぎておりますので、簡潔におまとめください。

水上貴央弁護士:
分かりました。
参議院が「その良識を放棄した」と国民に判断されないためには、いま正にしっかりとした審議を尽くすべきです。「60日ルールを使われたら参議院の存在意義がなくなる」などと言う方がいますが、参議院がその良識を放棄してしまったら、それこそ参議院の存在意義など国民は決して認めません。今こそ参議院の議員のセンセイ方の良識に期待し、我々はそれを注視していることを申し上げ、私の意見とさせて頂きます。ありがとうございました。
以下ネットの反応。

参院議長が、公述人に、国会運営に関して非常に辛辣な苦言を呈される超異常事態。

鴻池議長は歴史に残るな~。

「国会は必要ない」とも言われてますな~。

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