「東京は手遅れに近い、検査抑制の限界を認めよ」WHO事務局長側近の医師が警鐘
新型コロナウイルス感染症の急拡大を受けて4月8日、ついに日本政府は東京など7都府県に対する緊急事態宣言発令に踏み切った。遅過ぎるという声が漏れる中で、日本の社会と医療は持ちこたえることができるのか。元の生活を取り戻すことはできるのか。公衆衛生の専門家で、英国キングス・カレッジ・ロンドン教授、WHO(世界保健機関)事務局長上級顧問を務める渋谷健司医師に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 片田江康男)
これまで日本政府はパニックを抑えるために「今までと変わりはない」ということを強調していたのでしょうが、それは逆効果だったと思います。
日本の現状は手遅れに近い。日本政府は都市封鎖(ロックダウン)は不要と言っていますが、それで「80%の接触減」は不可能です。死者も増えるでしょう。対策を強化しなければ、日本で数十万人の死者が出る可能性もあります。
既に大都市でのクラスター対策は破綻しています。これまでPCR検査数を抑制し、クラスター対策のみを続けていましたので、市中感染を見逃してしまい、院内感染につながってしまっています。今まさに院内感染から医療崩壊が起き始めています。
国は検査数を増やせば感染者が外来に殺到して医療崩壊が起こると言っていました。しかし、ここまでの流れは全くの逆です。検査をしなかったから、市中感染を見逃して、院内感染を招いているのです。
そもそも、クラスター対策の中で出てきた「3密(密閉・密集・密接)」を避けるべきという指針についても、これだけに固執するのは危険です。3密は一つの仮説です。クラスター対策の限界を認め、方針を転換しない限り、感染拡大は止まりません。
世界で「3密」と言っている国はありません。もちろんその条件がそろうと感染のリスクが高いというのは正しいと思います。ただそれ以外にも感染の可能性があることは考える必要があります。
海外では、基本は社会的隔離で全ての感染経路の可能性を含めたメッセージを継続しています。「若者クラスター」「夜のクラスター」「3密」などという事象にばかりフォーカスする日本のメッセージは、その妥当性に懸念が残ります。
WHO(世界保健機関)は一貫して「検査と隔離」を徹底するように言い続けています。日本はその原則を徹底しませんでした。もう今からそれをやるしかありません。他にチョイスはない。「検査と隔離」をきちんとやった国であっても第2波、第3波が懸念されています。
結局、社会的隔離やロックダウンを繰り返しながら、「検査と隔離」を徹底して、感染拡大を抑えるしか方法はないのです。ワクチンができるまで、かなりの時間がかかります。もうそれ以外に方法はないのです。日本では「検査と隔離」を徹底せずに感染が爆発的に増加して、医療と社会が崩壊する危機的な状況です。
しかし、市中感染と院内感染がこれだけ広がってしまえば、水際対策をやっていてもほとんど意味はありません。空港でPCR検査を大量にやっていますが、リソースの無駄です。市中にどれだけ感染者がいるか、院内感染をどうやって防ぐかが今は最も重要です。
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以下ネットの反応。
「まずやることは三つ。一つ目は政府の指揮系統をはっきりとさせる。今は官邸や危機管理室、専門家会合、厚生労働省などバラバラです。二つ目は検査数をしっかりと増やす。三つ目は医療従事者への防護服の配布を徹底して彼らを守ること。医療が崩壊したら日本社会は持たない」 https://t.co/74qBZ4MmOB
— 小沢一郎(事務所) (@ozawa_jimusho) April 8, 2020
渋谷先生、頑張ってますね。公衆衛生の専門家で反対しているのは、彼くらいですね。ちなみに彼は論文業績では公衆衛生の中では圧倒的です。説得力があります。 https://t.co/UrLhjIWwGz
— 上 昌広 (@KamiMasahiro) April 8, 2020
「東京は手遅れに近い、検査抑制の限界を認めよ」WHO事務局長側近の医師が警鐘 渋谷健司 英国キングス・カレッジ・ロンドン教授、WHO事務局長上級顧問インタビュー https://t.co/uSSzaAzAe9 #スマートニュース ようやく、ボスも方向転換。遅すぎるが、やるしかない
— onodekita (@onodekita) April 8, 2020
がありませんでした。欧米ほど在宅勤務は増えていないし、飲食店には依然として人が集まっています。
これまで日本政府はパニックを抑えるために「今までと変わりはない」ということを強調していたのでしょうが、それは逆効果だったと思います。」
その通り。何が起きるか国民に正直に話すべき。— 原口 一博 (@kharaguchi) April 8, 2020
この記事の深刻な予測が当たるかどうかは(日本人の遺伝的特質や免疫状況などの要因で)わからないけれども、指摘されている公衆衛生対応の前近代性、非合理性はきちんと反省して、修正すべき。
「東京は手遅れに近い、検査抑制の限界を認めよ」WHO事務局長側近の医師が警鐘 https://t.co/G23H1UJRFz
— 茂木健一郎 (@kenichiromogi) April 9, 2020
昔からよく存じ上げている元東大教授の先生だ。私個人は先生こそこの分野では、日本一の専門家の一人だと思っていたのだが、なぜ前面に出てこないのか不思議だったが、やっとご意見を拝聴できた(続)。 https://t.co/9FG6NnMGHA
— 藤巻健史 (@fujimaki_takesi) April 8, 2020
まともな意見が出てきた。クラスター対策に特化したため、PCR検査が不足し市内感染を拡大させてしまった。科学ではなく、政治イデロギーで検査に反対したのは安倍応援団ではなかったのか。生ぬるく弊害の大きい緊急事態宣言のみですべて片付くような幻想は捨てたほうがよい。https://t.co/uyUw0jqD6M
— 舛添要一 (@MasuzoeYoichi) April 9, 2020
「東京都は1週間遅れた」
3月の三連休前、東京都オリパラ大会の是非が決まる前まで都知事も政府も動きませんでした。
本気で悔やまれます。渋谷医師の指摘を、ぜひ守ってほしいです。
「東京は手遅れに近い、検査抑制の限界を認めよ」WHO事務局長側近の医師 https://t.co/6qviHSISsu
— 蓮舫・立憲民主党(りっけん) (@renho_sha) April 9, 2020