日本でも最近患者が増えつつある皮膚がん(メラノーマ)に対してのウイルス療法が最終段階の試験でも好成績を上げているということです。ウイルス療法も副作用があるかも知れませんが、がん細胞だけを狙い打てるために抗がん剤や外科手術と比べると体への負担が軽くて済みそうですし、他の治療ができない”脳”などへの治療も可能になります。
http://www.mededge.jp/a/canc/13862
皮膚がんをウイルスで治療する方法が、試験最終段階で好成績を上げている。メラノーマの新しい治療として実用化が近づく。
世界中で64の研究所が関わる臨床試験を行っている国際的研究グループが、がんを専門とする国際的オンライン誌ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジー誌2015年5月26日に報告した。
ウイルス免疫療法薬の「タリモジーン・ラハーパレプベック(Talimogene Laherparepvec)」は「T-VEC」とも呼ばれている。単純ヘルペスウイルス1型から遺伝子操作によって作られた薬。腫瘍崩壊を引き起こす。腫瘍の内部でだけ増殖するよう設計されている。さらに、顆粒球マクロファージ・コロニー刺激因子(GM-CSF)を作り出して、全身の抗腫瘍免疫反応を強めるようになる。
日本でも東京大学医科学研究所でがんのウイルス治療が実用化に向けて進んでいると知られている(「第4のがん治療」日本初の治験着手へ、治療困難な脳腫瘍をウイルスで殺す、東大医科研が発表を参照)。手術、薬、放射線に続く、新しいがん治療として定着する可能性もありそうだ。
下記URLでは東京大学医科学研究所の藤堂具紀医師が「ウイルス療法」について語った動画を見ることができます。
http://www.ampo.jp/movies/vol30
http://www.cancerit.jp/26531.html
T-VECは、癌細胞を破壊する目的で作成されたウイルスを用いる免疫療法の一種である。同薬は腫瘍に直接注入され、腫瘍の中で局所的に作用した後、体内の他の部位にある癌細胞に対して免疫反応を引き起こす仕組みになっている。
2013年に米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表された第3相試験のデータを用いて、研究者らは、T-VECの投与を受けた患者286人の腫瘍病変3,219個を分析し、T-VECを注入した腫瘍と注入しなかった腫瘍における薬剤奏効を調べた。その内訳は、T-VECを少なくとも1回注入した病変2,043個、注入しなかった内臓以外の病変1,022個、注入しなかった内臓病変154個であった。
その結果、注入を受けた腫瘍のうち64%が半分に縮小し、直接注入を受けていない腫瘍では、内臓以外の腫瘍の32%、内臓腫瘍の16%が半分に縮小した。
患者6人においては、T-VEC投与後に手術不可能なメラノーマが手術可能に転化した。試験期間中に実施された手術は計37件で、このうち15人が無病生存状態(NED)となり、3人に病理学的完全奏効が認められた。
T-VECを直接注入した腫瘍だけではなく、直接注入していない腫瘍でも縮小が認められたことから、T-VECは免疫系を誘発して遠隔腫瘍に対抗することがわかる。研究者らは、この有望な新薬のさらなる試験が必要であると結論づけている。
以下ネットの反応
ヘルペスウイルスから遺伝子操作によって作られた薬でメラノーマを治療すると。副作用が心配だけど、今後の研究に期待したい治療法。
がんをウイルスで溶かす、初のメラノーマへのウイルス療法「T-VEC」、最終試験で好成績 | Medエッジ http://t.co/GobqL84NFS
— フム☆フム (@fumu26) 2015, 6月 3
ガン検診や治療法に関しては、昔からいろんな話がありますよね。下の動画に出てくる近藤先生なんかはガン検診や抗がん剤治療・外科手術を否定的に捉えています。
最近がんについて勉強していて思うのですが、2人に1人ががんになる時代ですからがんに関しては皆が勉強すべきだと思います。そして、がんが発見されたときに納得のいく治療ができることが大切なのではないでしょうか?